2011年の申告用に書かれた原稿です。
日本の一流会計雑誌にも掲載されました。
上田 稔著
FATCA・Statement of Specified Foreign Financial Assets
フォーム8938記入の仕方
新しい申告フォームの出現です。本年は個人申告書1040に添付しますが、来年には法人の申告書にも似たようなフォームの添付が必要とされます。一定のしきい値を超える特定外国金融資産を所有する米国税申告者がこの新しいフォーム8938にこれらの資産を記入し、従来の個人所得税申告書1040に添付することとなります。
FATCAの申告必要でしょうか?:
規定されている金額を超える特定されている外国金融資産の保有者です。これに該当する人を特定人と呼びます。また特定されている外国金融資産(specified foreign financial assets)を特定外国資産と呼びます。特定人とは個人だけではなく米国企業も包括します。米法ではpersonとは一般に個人、信託、エステイト、並びに法人を意味します。規定されている金額を超過している場合、未払い税金がない場合でも8938の提出は必要です。税申告が必要とされていない特定人は特定人に該当しても、8938の提出は必要とされません。
特定人とは:
1.米国市民。2.今年度の申告期間中、米国の居住外国人
3.申告の必要性から又は連帯申告の為に居住外国人を選択した非居住者
4.アメリカソモア又はプエルトリコの真の居住者
報告をする最低金額とは?
特定外国金融資産額が以下の条件を満たす者は8938を申告する必要があります。例外はありません。
1.米国在住未婚の納税者
申告年度末の額が50,000以上か又は年度中の額が$75,000以上。
2.米国在住既婚者で夫婦共同申告
申告年度末で$100,000以上又は申告年度中で$150,000以上。
3.米国在住既婚者で夫婦個別申告
年度末で$50,000又は申告年度中$75,000以上。
4.外国居住納税者。
納税者の住所(生活の本拠地)や商売の本拠地が外国にあり且つ又下記に定義されているpresence abroad(外国滞在)の定義の内の一つでも該当するケースです。
(a)未婚の納税者並びに既婚者で夫婦個別共同申告:
年度末に$200,000以上又は年度中、$300,000以上。
(b) 既婚者で夫婦共同申告:
年度末$400,000以上又は年度中$600,000以上。
Presence Abroad(外国常在)の定義
以下の一つでも外国常在の定義を満たします。
1.米国市民が外国又は複数の外国に365日間継続して真性居住していた。
2.米国市民又は米国居住者が申告をする年度末から遡って12ヶ月の間 最低330日間、外国又は複数の外国にいた。
特定外国金融資産の総額の計算仕方
しきい最低金額を超過しているかを確定するには関与している特定外国金融資産の総額をまず認定する。特定外国金融資産の関与の認定方法は別記の“特定外国金融資産の関与の識別”を参照。
特定外国金融資産の価格基準
市場価格です。これは年度末でも年度中でも特定外国金融資産の総額は市場価格で評価されます。後述する“最高額を申告する為の外国為替の兌換方”を参照。
外国信託の持ち分の価値
持ち分の市場価値に関する知識がないしかし簡単に市場価格を知るべき手段や情報が存在する場合、持ち分価値は自動的に市場の最高額となります。最高額の認定方法は後述参考。
外国遺産、外国年金プラン、外国繰延報酬プランの持ち分価値
申告年度の最終日に認定した市場価格です。年度中にこれらの権利からの配分がなかった場合その持ち分価値をゼロとする。
明確に定められた価値のない資産
特定外国金融資産の最高額がゼロ以下の場合、その資産の価値はゼロとする。
共有資産
しきい値計算するのに、該当する資産が他のフォームに報告されていても、全ての特定外国金融資産の額を合算する。
特定外国金融資産とは?Specified foreign financial assets(SFFA)
特定外国金融資産とは下記の資産を含みます:
1.外国金融機関に維持されている金融資産
2.口座ではなく、投資として保持している下記の特定外国金融資産
a. 外国企業の株式、証券。
b. 外国企業への持ち分
c. 外国企業または個人が発行当人又は相手人である金融商品並びに契約書
註:外国社会保険とそれに該当する外国政府のプログラムは特定外国金融資産ではありません。
金融口座
外国金融機関に保管又は管理口座並びに外国金融機関の持分権や債務権(例外は確立された証券取引所で頻繁に取引されている権利証書)を指す。特定外国金融資産は下記の米国領にある金融機関により維持されている口座を含みます:
アメリカンサモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、米国バージンアイランド。
外国金融機関とは。
米国の企業ではなく且つ下記の一つ又は複数の条件を満たしている金融機関です:
1.通常の銀行又は銀行と類似した企業の業務として預金を預かる。
2.主だった業務として口座に顧客の金融資産を預かる。
3.公の業務として主に投資、再投資、証券の取引、株の売買、パートナーシップ利益、商品取引、先物契約や信用取引やオプション等を含むそのような証券又はパートナーシップ権利、商品からの利益に従事している。外国の金融機関には外国の、エクイテイファンド、ヘッジファンド、ミューチュアルファンドも含まれます。
その他の特定外国金融資産
金融口座保有ではなく投資目的に保有している下記持ち分:
外国法人の株式
外国パートナーシップ資本並びに持ち分
手形、債権、社債、又はその他の外国企業や個人が発行した各種債務
外国の遺産や信託財産等の受益権
以下、外国の相手側との金利のレートのスワップ、貨幣スワップ、ベイシススワップ(2つの浮動金利レートのスワップ)、金利のレートのキャップ、金利のレートのフロアー、商品スワップ、エクイテイースワップ(資産の交換無しで、2者間のその資産からのキャッシュフローの交換)、エクイテイーのインデックスのスワップ、クレジットデフォルトスワップ(CDS)又は外国の相手方との同様な協定。
外国の相手方又は発行者とのこれらの例に挙げた商品とのオプション、デリバテイブ又は貨幣、商品のオプション、デリバテイブ取引。
投資のために保有している資産の説明
事業目的でなく保持し、使用していないパートナーシップ権利を含む資産を投資目的の資産という。特に株式は事業目的の為の使用又は保持とはみなさない。
特定外国金融資産の利益とは?:
特定外国金融資産の保有又は処理からの収入、ゲイン、損失、控除、貸越し、総収益、収益又は費用の配分が税申告に反映されているならば、その特定外国金融資産からの利益がある。同時に、配分もなく、今年度、税申告の要なく、申告書に反映されていなくても、その特定外国金融資産に対する利益はある。要するに、所有から生じる利益です。
Disregarded企業が保有している資産に対する持ち分
会社法上、法人であっても税法上、その扱いが法人ではなく、個人扱いになるような企業体、これをDisregarded companyと税法上呼びます。例えば、自分一人で所有しているLimited Liability Company(LLC)有限責任会社です。どうしてDisregardなのかといえばこのようなLLCの会計申告は自営業と同じSchedule Cでの報告が義務づけられているからです。法人ですとフォームの1120が義務づけられています。パートナーシップですと1165です。一人のLLCは個人申告フォームの1040の中の添付スケジュールCで報告をします。もしこのようなDisregarded企業によって保有されている利害関係の所有者であった場合、Disregarded企業によって保有されている特定外国金融資産の所有者とみなされます。
共有資産の持ち分
共有資産の全額の所有者となります。詳細は後述する“資産の最高額”の項目で説明します。
金融口座に保有されている資産の持ち分
報告の必要はありません。
ある種の前受収益を発生させている自分の子供の資産の保有
この形の前受け収益を親の申告書にフォーム8814で親の総所得の中に合算している場合、子供が保有する全ての特定外国金融資産に持ち分があるとみなされます。
Disregarded企業でない企業に保有されている資産の持ち分
申告者がパートナー、株主、信託や遺産の受託者として、パートナーシップ、法人、遺産、そして財産権が保有している特定外国金融資産は申告者の保有とはなりません。
Grantor Trust、(みなし自益信託、譲与者信託)と呼ばれる米国のLiving trustが保有している資産の持ち分。
申告者がみなし自益信託ルール下でその信託の一部の所有者としてみなされる場合、信託の一部に値する特定外国金融資産に所有権があるとみなされる。
外国遺産、外国財産信託の権利
外国信託、外国財産信託の権利は特定外国金融資産ではありません。ただしその権利が安易にある情報からその持ち分が特定外国金融資産であるということを知っている場合、又は知っていると充分みなされ場合は別です。これらの外国信託、外国財産信託から配当を受けたとします。この場合、その申告者は持ち分が存在することを知っていたと判断されます。
外国の支払繰延給与、と外国ペンションプランに関する利益関係
外国の支払繰延給与、と外国ペンションプランに関する持ち分はフォーム8938のPart IIに記入する。ただしプラン自体が保有している資産を個々に列記しない。
最高額の報告
報告される特定外国金融資産の金額は申告年度中の最高額です。ほとんどの場合、市場価格です。第三者による最高値の価格査定の必要はありません。
プラスの値のない資産
最高値はゼロです。
実例:フォーム8938の申告が必要なのかどうか?
1から8は米国に住んでいる人です。9と10は海外生活者。
1.未婚者。特定外国金融資産の総額が申告年度中$49,000
答:必要なし。年度中の保有金額が$75,000を超えていません。
2.未婚者、本年の10月15日に市場価格が$125,000の時に特定外国金融資産を売却しました。
答:申告が必要です。保有額が年度中にしきい値の$75,000を超過していた。
3.未婚者、親戚ではない米国在住者の第三者と$60,000の特定外国金融資産を共有しいます。
答:両人とも申告が必要です。両人とも$50,000を申告年度末に満たしています。
4.未婚者、税金対策として社員一名(自分自身が社員)の有限責任会社を保有し、その有限会社が$30,000の特定外国金融資産を所有しています。それとは別に申告者自身$25,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:申告が必要です。貴方自身が特定外国金融資産$30,000を保有する有限責任会社を保有し、且つ$25,000の特定外国金融資産を保有しているので、実際、貴方が$55,000の特定外国金融資産を保有していることになり、限度額の$50,000を年度末に超過しています。
5.既婚者、合同申告、夫婦で$60,000の特定外国金融資産を共有しています。
答:申告の必要ありません。年度末の最低保有高$100,000以下、且つ年度中の最低保有高$150,000以下。
6.既婚者、合同申告者、合同とは別に個人でも特定外国金融資産を保有。申告年度の最終日に夫婦合同で$90,000の特定外国金融資産を保有。伴侶は別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人として$1,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:夫婦合同で申告が必要です。年度末の最終日の特定外国金融資産の総額が$101,000だからです。
7.既婚者、夫婦個別申告、年間中を通して$60,000の特定外国金融資産を共有しています。
答:既婚者、夫婦、どちらとも申告の必要性なし。共有財産の半額である$30,000を個々に所有しているからです。年度末の最低規定額$50,000、.年度中の$75,000も超過していません。
8。既婚者、個別申告、
合同でも、それとは別に個人でも特定外国金融資産を保有しています。申告年度の最終日に夫婦合同で$90,000の特定外国金融資産を保有しています。私の伴侶はこれとは別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人として$1,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:貴方の申告要なし。配偶者は申告が必要です。年度末の特定外国金融資産の総額は$55,000です。貴方の場合は年度末の特定外国金融資産の総額が$46,000。配偶者は年度末、$50,000を超過。貴方の場合は年度末、年度中の規定しきい値$75,000以下。
9.米国市民、既婚者、共同申告、海外に一年中住んでいます。
年間を通じて、我々の特定外国金融資産の総額は$150,000でした。
答:申告の必要はありません。年度末の規定しきい値$400,000を満たしていませんし、年度中しきい値$600,000も満たしていません。
10.既婚者、夫婦とも海外で生活。個別申告、配偶者は特定人ではない。申告年度の最後の日、両人で$150,000の特定外国金融資産を共有し、別に個人で特定外国金融資産を保有。配偶者は別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人で$60,000の特定外国金融資産を保有。
答:貴方は申告が必要です。貴方の配偶者は特定人ではないので必要はなし。貴方は申告年度の最終日に$210,000の特定外国金融資産の持ち分有り。年度末の最低しきい値$200,000を超過。
報告のの必要のないケース!
下記の一つに該当する場合、フォーム8938上の特定外国金融資産の報告の必要はありません。
1.米国内の金融機関の様な米国の支払人によって維持されている金融口座。米国支払人とは下記の機関を含みます:外国銀行の米国内支店、外国保険会社の米国内支店、米国金融機関の外国支店又は外国小会社。
2.全ての証券や商品や債権等に対して洗い値会計原則使用が業者に義務づけられている場合又は税法令の475(e)又は(f)の選定が口座の全ての保有物に義務づけられている場合での証券や商品売買の手張り業者や売買業者によって保持されている金融口座。
その他の例外該当特定外国金融資産
証券や商品売買の手張り業者や売買業者の口座に保持されていない特定外国金融資産
でこれらの資産に対して洗い値会計原則使用が業者に義務づけられている場合又は税法令の475(e)又は(f)の選定が口座の全ての保有物に義務づけられている場合はそのような特定外国金融資産の報告の必要はない。
重複報告
特定外国金融資産の報告が同年度に下記のフォームにより適時に内国歳入庁に報告されている場合フォーム8938上の報告をする必要はありません。
フォーム3520,5471,8621,8865,並びに8991.
しかし、フォーム8938上に上記のどのフォームに特定外国金融資産が報告されたのかを報告すると同時にこれらのフォームの枚数も明示する必要があります。
外国のみなし自益信託
外国信託のどの部分であっても、みなし自益信託のルール下で所有者とみなされ、以下の条項を満たす場合、所有しているとされる信託の該当する部分によって保有されている特定外国金融資産は何れも報告の必要はありません。
1.所有者が同年に内国歳入庁に適時にフォーム3520で信託を報告している。
2.信託自体が同年に内国歳入庁に適時にフォーム3520―Aでその信託を報告している。
しかし、フォーム8938上にこれらのフォームの枚数を明示する必要があります。
内国投資信託
みなし自益信託のルール下で基本通達の1.671-5節にある、広範囲に保有されている確定投資信託のどの部分でも所有者としてみなされる場合、そのような信託の保有部分によって保有されている特定外国金融資産を報告する必要はない。
内国破産信託
みなし自益信託とか譲与者信託のルール下で、破産法典のチャプター7又は11下で作成された基本通達の301.7701-4(d)節による内国清算信託のどの部分でも所有者とみなされるならば、当人が所有しているとされる信託の部分に所有されている特定外国金融資産も報告の必要はない。
罰金は幾ら?
罰金の対象となるのは申告期限以内に正確なフォーム8938を申告しない人又は税金の過小申告又は特定外国金融資産の収入の記載漏れです。
無申告に関する罰則
申告する義務を持ちながら正確なフォーム8938を(延長を含む)締め切り日までに提出しなかった場合$10,000の罰則の対象になります。
継続して無申告に関する罰則
無申告に関して内国歳入庁が通知を出して90日以内に正しく且つ完結したフォーム8938を提出しない場合でさらに最初の90日の期間が経過しても継続してフォーム8938を提出しない場合次の30日ごとの期間(その中の部分)に対して追加の$10,000ずつの罰金の対象となります。継続無申告の罰金の最高額は$50,000です。
罰則:既婚者、共同申告
共同申告ですから、連帯的義務です。
最高額の推定事実
内国歳入庁が申告者は特定外国金融資産に持ち分があると判定し、その資産の価値に関する情報を要求したところ、当人が内国歳入庁にその資産価値を認定するには不十分な情報しか提出しなかった場合、しきい値超過の価値の資産を保有していると仮定されます。もしフォーム8938を申告しない場合、無申告の罰金の対象となります。
相当な理由による例外
無申告が相当な理由に基づくものであり、故意の注意義務違反でなく、フォーム8938を提出出来なかった場合、フォーム8938上に特定外国金融資産の少数の記載漏れがあったにしても罰金の対象にはなりません。だだし、もし外国政府が当人が要求されている情報を開示することがその國の民事又は刑事罰則の対象になるとしても、それは相当な理由の例外となりません。
正確さに関する罰則
未開示の特定外国金融資産の取引の結果、税金が過小納付となった場合、その過小納付額の40%と同額の罰金を支払うことになります。
未開示の特定外国金融資産取引例:
1.フォーム8938上に外国法人の株式を保有していることを報告していなかった。その未報告の会社から課税対象となる配当を受け取っていた。受け取った配当を申告しなかった。
2.フォーム8938上に外国法人の株式を保有していることを報告していなかった。その株式を売却して利益を得たが、利益の税申告をしなかった。
3.フォーム8938上に外国のペンションを報告していなかった。申告書に報告していない課税対象になる配当をペンションから受け取っていた。
詐欺
詐欺目的で税の過少申告をした場合、詐欺行為で生じた税の過小金額の75%の罰金を支払わなければなりません。
刑事罰
以上述べた罰金の他にフォーム8938の無申告、資産の無報告、税金の過少申告は刑事罰の対象となります。
出訴期限法
フォーム8938の申告をする日から3年間、申告年の出訴期限は当人の税申告の全部又は一部にたいして開いたままになります。
収入を無申告の場合の延期出訴期限
特定外国金融資産からの収入を過少申告し、その除外した金額が$5,000以上の場合、それに課税は当人が税申告した日から6年間の間に課税できます。
FATCAの申告必要でしょうか?:
規定されている金額を超える特定されている外国金融資産の保有者です。これに該当する人を特定人と呼びます。また特定されている外国金融資産(specified foreign financial assets)を特定外国資産と呼びます。特定人とは個人だけではなく米国企業も包括します。米法ではpersonとは一般に個人、信託、エステイト、並びに法人を意味します。規定されている金額を超過している場合、未払い税金がない場合でも8938の提出は必要です。税申告が必要とされていない特定人は特定人に該当しても、8938の提出は必要とされません。
特定人とは:
1.米国市民。2.今年度の申告期間中、米国の居住外国人
3.申告の必要性から又は連帯申告の為に居住外国人を選択した非居住者
4.アメリカソモア又はプエルトリコの真の居住者
報告をする最低金額とは?
特定外国金融資産額が以下の条件を満たす者は8938を申告する必要があります。例外はありません。
1.米国在住未婚の納税者
申告年度末の額が50,000以上か又は年度中の額が$75,000以上。
2.米国在住既婚者で夫婦共同申告
申告年度末で$100,000以上又は申告年度中で$150,000以上。
3.米国在住既婚者で夫婦個別申告
年度末で$50,000又は申告年度中$75,000以上。
4.外国居住納税者。
納税者の住所(生活の本拠地)や商売の本拠地が外国にあり且つ又下記に定義されているpresence abroad(外国滞在)の定義の内の一つでも該当するケースです。
(a)未婚の納税者並びに既婚者で夫婦個別共同申告:
年度末に$200,000以上又は年度中、$300,000以上。
(b) 既婚者で夫婦共同申告:
年度末$400,000以上又は年度中$600,000以上。
Presence Abroad(外国常在)の定義
以下の一つでも外国常在の定義を満たします。
1.米国市民が外国又は複数の外国に365日間継続して真性居住していた。
2.米国市民又は米国居住者が申告をする年度末から遡って12ヶ月の間 最低330日間、外国又は複数の外国にいた。
特定外国金融資産の総額の計算仕方
しきい最低金額を超過しているかを確定するには関与している特定外国金融資産の総額をまず認定する。特定外国金融資産の関与の認定方法は別記の“特定外国金融資産の関与の識別”を参照。
特定外国金融資産の価格基準
市場価格です。これは年度末でも年度中でも特定外国金融資産の総額は市場価格で評価されます。後述する“最高額を申告する為の外国為替の兌換方”を参照。
外国信託の持ち分の価値
持ち分の市場価値に関する知識がないしかし簡単に市場価格を知るべき手段や情報が存在する場合、持ち分価値は自動的に市場の最高額となります。最高額の認定方法は後述参考。
外国遺産、外国年金プラン、外国繰延報酬プランの持ち分価値
申告年度の最終日に認定した市場価格です。年度中にこれらの権利からの配分がなかった場合その持ち分価値をゼロとする。
明確に定められた価値のない資産
特定外国金融資産の最高額がゼロ以下の場合、その資産の価値はゼロとする。
共有資産
しきい値計算するのに、該当する資産が他のフォームに報告されていても、全ての特定外国金融資産の額を合算する。
特定外国金融資産とは?Specified foreign financial assets(SFFA)
特定外国金融資産とは下記の資産を含みます:
1.外国金融機関に維持されている金融資産
2.口座ではなく、投資として保持している下記の特定外国金融資産
a. 外国企業の株式、証券。
b. 外国企業への持ち分
c. 外国企業または個人が発行当人又は相手人である金融商品並びに契約書
註:外国社会保険とそれに該当する外国政府のプログラムは特定外国金融資産ではありません。
金融口座
外国金融機関に保管又は管理口座並びに外国金融機関の持分権や債務権(例外は確立された証券取引所で頻繁に取引されている権利証書)を指す。特定外国金融資産は下記の米国領にある金融機関により維持されている口座を含みます:
アメリカンサモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、米国バージンアイランド。
外国金融機関とは。
米国の企業ではなく且つ下記の一つ又は複数の条件を満たしている金融機関です:
1.通常の銀行又は銀行と類似した企業の業務として預金を預かる。
2.主だった業務として口座に顧客の金融資産を預かる。
3.公の業務として主に投資、再投資、証券の取引、株の売買、パートナーシップ利益、商品取引、先物契約や信用取引やオプション等を含むそのような証券又はパートナーシップ権利、商品からの利益に従事している。外国の金融機関には外国の、エクイテイファンド、ヘッジファンド、ミューチュアルファンドも含まれます。
その他の特定外国金融資産
金融口座保有ではなく投資目的に保有している下記持ち分:
外国法人の株式
外国パートナーシップ資本並びに持ち分
手形、債権、社債、又はその他の外国企業や個人が発行した各種債務
外国の遺産や信託財産等の受益権
以下、外国の相手側との金利のレートのスワップ、貨幣スワップ、ベイシススワップ(2つの浮動金利レートのスワップ)、金利のレートのキャップ、金利のレートのフロアー、商品スワップ、エクイテイースワップ(資産の交換無しで、2者間のその資産からのキャッシュフローの交換)、エクイテイーのインデックスのスワップ、クレジットデフォルトスワップ(CDS)又は外国の相手方との同様な協定。
外国の相手方又は発行者とのこれらの例に挙げた商品とのオプション、デリバテイブ又は貨幣、商品のオプション、デリバテイブ取引。
投資のために保有している資産の説明
事業目的でなく保持し、使用していないパートナーシップ権利を含む資産を投資目的の資産という。特に株式は事業目的の為の使用又は保持とはみなさない。
特定外国金融資産の利益とは?:
特定外国金融資産の保有又は処理からの収入、ゲイン、損失、控除、貸越し、総収益、収益又は費用の配分が税申告に反映されているならば、その特定外国金融資産からの利益がある。同時に、配分もなく、今年度、税申告の要なく、申告書に反映されていなくても、その特定外国金融資産に対する利益はある。要するに、所有から生じる利益です。
Disregarded企業が保有している資産に対する持ち分
会社法上、法人であっても税法上、その扱いが法人ではなく、個人扱いになるような企業体、これをDisregarded companyと税法上呼びます。例えば、自分一人で所有しているLimited Liability Company(LLC)有限責任会社です。どうしてDisregardなのかといえばこのようなLLCの会計申告は自営業と同じSchedule Cでの報告が義務づけられているからです。法人ですとフォームの1120が義務づけられています。パートナーシップですと1165です。一人のLLCは個人申告フォームの1040の中の添付スケジュールCで報告をします。もしこのようなDisregarded企業によって保有されている利害関係の所有者であった場合、Disregarded企業によって保有されている特定外国金融資産の所有者とみなされます。
共有資産の持ち分
共有資産の全額の所有者となります。詳細は後述する“資産の最高額”の項目で説明します。
金融口座に保有されている資産の持ち分
報告の必要はありません。
ある種の前受収益を発生させている自分の子供の資産の保有
この形の前受け収益を親の申告書にフォーム8814で親の総所得の中に合算している場合、子供が保有する全ての特定外国金融資産に持ち分があるとみなされます。
Disregarded企業でない企業に保有されている資産の持ち分
申告者がパートナー、株主、信託や遺産の受託者として、パートナーシップ、法人、遺産、そして財産権が保有している特定外国金融資産は申告者の保有とはなりません。
Grantor Trust、(みなし自益信託、譲与者信託)と呼ばれる米国のLiving trustが保有している資産の持ち分。
申告者がみなし自益信託ルール下でその信託の一部の所有者としてみなされる場合、信託の一部に値する特定外国金融資産に所有権があるとみなされる。
外国遺産、外国財産信託の権利
外国信託、外国財産信託の権利は特定外国金融資産ではありません。ただしその権利が安易にある情報からその持ち分が特定外国金融資産であるということを知っている場合、又は知っていると充分みなされ場合は別です。これらの外国信託、外国財産信託から配当を受けたとします。この場合、その申告者は持ち分が存在することを知っていたと判断されます。
外国の支払繰延給与、と外国ペンションプランに関する利益関係
外国の支払繰延給与、と外国ペンションプランに関する持ち分はフォーム8938のPart IIに記入する。ただしプラン自体が保有している資産を個々に列記しない。
最高額の報告
報告される特定外国金融資産の金額は申告年度中の最高額です。ほとんどの場合、市場価格です。第三者による最高値の価格査定の必要はありません。
プラスの値のない資産
最高値はゼロです。
実例:フォーム8938の申告が必要なのかどうか?
1から8は米国に住んでいる人です。9と10は海外生活者。
1.未婚者。特定外国金融資産の総額が申告年度中$49,000
答:必要なし。年度中の保有金額が$75,000を超えていません。
2.未婚者、本年の10月15日に市場価格が$125,000の時に特定外国金融資産を売却しました。
答:申告が必要です。保有額が年度中にしきい値の$75,000を超過していた。
3.未婚者、親戚ではない米国在住者の第三者と$60,000の特定外国金融資産を共有しいます。
答:両人とも申告が必要です。両人とも$50,000を申告年度末に満たしています。
4.未婚者、税金対策として社員一名(自分自身が社員)の有限責任会社を保有し、その有限会社が$30,000の特定外国金融資産を所有しています。それとは別に申告者自身$25,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:申告が必要です。貴方自身が特定外国金融資産$30,000を保有する有限責任会社を保有し、且つ$25,000の特定外国金融資産を保有しているので、実際、貴方が$55,000の特定外国金融資産を保有していることになり、限度額の$50,000を年度末に超過しています。
5.既婚者、合同申告、夫婦で$60,000の特定外国金融資産を共有しています。
答:申告の必要ありません。年度末の最低保有高$100,000以下、且つ年度中の最低保有高$150,000以下。
6.既婚者、合同申告者、合同とは別に個人でも特定外国金融資産を保有。申告年度の最終日に夫婦合同で$90,000の特定外国金融資産を保有。伴侶は別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人として$1,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:夫婦合同で申告が必要です。年度末の最終日の特定外国金融資産の総額が$101,000だからです。
7.既婚者、夫婦個別申告、年間中を通して$60,000の特定外国金融資産を共有しています。
答:既婚者、夫婦、どちらとも申告の必要性なし。共有財産の半額である$30,000を個々に所有しているからです。年度末の最低規定額$50,000、.年度中の$75,000も超過していません。
8。既婚者、個別申告、
合同でも、それとは別に個人でも特定外国金融資産を保有しています。申告年度の最終日に夫婦合同で$90,000の特定外国金融資産を保有しています。私の伴侶はこれとは別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人として$1,000の特定外国金融資産を保有しています。
答:貴方の申告要なし。配偶者は申告が必要です。年度末の特定外国金融資産の総額は$55,000です。貴方の場合は年度末の特定外国金融資産の総額が$46,000。配偶者は年度末、$50,000を超過。貴方の場合は年度末、年度中の規定しきい値$75,000以下。
9.米国市民、既婚者、共同申告、海外に一年中住んでいます。
年間を通じて、我々の特定外国金融資産の総額は$150,000でした。
答:申告の必要はありません。年度末の規定しきい値$400,000を満たしていませんし、年度中しきい値$600,000も満たしていません。
10.既婚者、夫婦とも海外で生活。個別申告、配偶者は特定人ではない。申告年度の最後の日、両人で$150,000の特定外国金融資産を共有し、別に個人で特定外国金融資産を保有。配偶者は別に個人で$10,000の特定外国金融資産を保有し、私自身個人で$60,000の特定外国金融資産を保有。
答:貴方は申告が必要です。貴方の配偶者は特定人ではないので必要はなし。貴方は申告年度の最終日に$210,000の特定外国金融資産の持ち分有り。年度末の最低しきい値$200,000を超過。
報告のの必要のないケース!
下記の一つに該当する場合、フォーム8938上の特定外国金融資産の報告の必要はありません。
1.米国内の金融機関の様な米国の支払人によって維持されている金融口座。米国支払人とは下記の機関を含みます:外国銀行の米国内支店、外国保険会社の米国内支店、米国金融機関の外国支店又は外国小会社。
2.全ての証券や商品や債権等に対して洗い値会計原則使用が業者に義務づけられている場合又は税法令の475(e)又は(f)の選定が口座の全ての保有物に義務づけられている場合での証券や商品売買の手張り業者や売買業者によって保持されている金融口座。
その他の例外該当特定外国金融資産
証券や商品売買の手張り業者や売買業者の口座に保持されていない特定外国金融資産
でこれらの資産に対して洗い値会計原則使用が業者に義務づけられている場合又は税法令の475(e)又は(f)の選定が口座の全ての保有物に義務づけられている場合はそのような特定外国金融資産の報告の必要はない。
重複報告
特定外国金融資産の報告が同年度に下記のフォームにより適時に内国歳入庁に報告されている場合フォーム8938上の報告をする必要はありません。
フォーム3520,5471,8621,8865,並びに8991.
しかし、フォーム8938上に上記のどのフォームに特定外国金融資産が報告されたのかを報告すると同時にこれらのフォームの枚数も明示する必要があります。
外国のみなし自益信託
外国信託のどの部分であっても、みなし自益信託のルール下で所有者とみなされ、以下の条項を満たす場合、所有しているとされる信託の該当する部分によって保有されている特定外国金融資産は何れも報告の必要はありません。
1.所有者が同年に内国歳入庁に適時にフォーム3520で信託を報告している。
2.信託自体が同年に内国歳入庁に適時にフォーム3520―Aでその信託を報告している。
しかし、フォーム8938上にこれらのフォームの枚数を明示する必要があります。
内国投資信託
みなし自益信託のルール下で基本通達の1.671-5節にある、広範囲に保有されている確定投資信託のどの部分でも所有者としてみなされる場合、そのような信託の保有部分によって保有されている特定外国金融資産を報告する必要はない。
内国破産信託
みなし自益信託とか譲与者信託のルール下で、破産法典のチャプター7又は11下で作成された基本通達の301.7701-4(d)節による内国清算信託のどの部分でも所有者とみなされるならば、当人が所有しているとされる信託の部分に所有されている特定外国金融資産も報告の必要はない。
罰金は幾ら?
罰金の対象となるのは申告期限以内に正確なフォーム8938を申告しない人又は税金の過小申告又は特定外国金融資産の収入の記載漏れです。
無申告に関する罰則
申告する義務を持ちながら正確なフォーム8938を(延長を含む)締め切り日までに提出しなかった場合$10,000の罰則の対象になります。
継続して無申告に関する罰則
無申告に関して内国歳入庁が通知を出して90日以内に正しく且つ完結したフォーム8938を提出しない場合でさらに最初の90日の期間が経過しても継続してフォーム8938を提出しない場合次の30日ごとの期間(その中の部分)に対して追加の$10,000ずつの罰金の対象となります。継続無申告の罰金の最高額は$50,000です。
罰則:既婚者、共同申告
共同申告ですから、連帯的義務です。
最高額の推定事実
内国歳入庁が申告者は特定外国金融資産に持ち分があると判定し、その資産の価値に関する情報を要求したところ、当人が内国歳入庁にその資産価値を認定するには不十分な情報しか提出しなかった場合、しきい値超過の価値の資産を保有していると仮定されます。もしフォーム8938を申告しない場合、無申告の罰金の対象となります。
相当な理由による例外
無申告が相当な理由に基づくものであり、故意の注意義務違反でなく、フォーム8938を提出出来なかった場合、フォーム8938上に特定外国金融資産の少数の記載漏れがあったにしても罰金の対象にはなりません。だだし、もし外国政府が当人が要求されている情報を開示することがその國の民事又は刑事罰則の対象になるとしても、それは相当な理由の例外となりません。
正確さに関する罰則
未開示の特定外国金融資産の取引の結果、税金が過小納付となった場合、その過小納付額の40%と同額の罰金を支払うことになります。
未開示の特定外国金融資産取引例:
1.フォーム8938上に外国法人の株式を保有していることを報告していなかった。その未報告の会社から課税対象となる配当を受け取っていた。受け取った配当を申告しなかった。
2.フォーム8938上に外国法人の株式を保有していることを報告していなかった。その株式を売却して利益を得たが、利益の税申告をしなかった。
3.フォーム8938上に外国のペンションを報告していなかった。申告書に報告していない課税対象になる配当をペンションから受け取っていた。
詐欺
詐欺目的で税の過少申告をした場合、詐欺行為で生じた税の過小金額の75%の罰金を支払わなければなりません。
刑事罰
以上述べた罰金の他にフォーム8938の無申告、資産の無報告、税金の過少申告は刑事罰の対象となります。
出訴期限法
フォーム8938の申告をする日から3年間、申告年の出訴期限は当人の税申告の全部又は一部にたいして開いたままになります。
収入を無申告の場合の延期出訴期限
特定外国金融資産からの収入を過少申告し、その除外した金額が$5,000以上の場合、それに課税は当人が税申告した日から6年間の間に課税できます。