2018年トランプ政権 新税法概略
2017年12月21日
昨日、20日に議会を通過し、約30年ぶりの大型税法の改正となった。2018年1月1日から効力を発する。以下、現段階で明白となっている条項をビジネス、個人、その他の3分野に分けて以下紹介いたします。
ビジネス関係に関しましては、更に別稿にて詳細に、トランプ政権が考えている新国際租税戦略を書きます。
ビジネス関係:
法人税率
2018年1月1日付で、法人税を現在の35%から21%とする。
パススルー型企業
S型法人、パートナーシップ、個人企業などの場合に、法人の段階で課税される収入とは別に個人にパススルーする特定の収入の最初の$315,000を上限とし、これには20%を非課税にする。この上限を超えた金額に対しては、実質、29.6%を超えない限定税率とする。20%非課税はリートからの配当、並びに上場取引されているパートナーシップ収益にも適用される。オーナーに支払われた給与は非課税とはならない。
Alternative Minimum Tax (選択分離最低税)
現状の20%課税を廃止し、この種の利益に対して、最低の課税を考慮する。まだ、税率は確定しておらず、何らかの課税は行うとしている。別稿にて詳細します。
国外所得の米国への回収
現在、最優先課題となっている国際租税に関する税法です。税の属地制度の改正です。現状では世界のどこで、米国法人が稼ごうが、その収益は米国で申告されなければならない。課税対象となる。ところが今後は、米国法人の外国収益に対して米国税を課さない。米国の多国籍法人の現在の形のオフショアー税対策の必要性を皆無とさせるのが目的です。米国の税法から離脱した多国籍法人を米国籍にもどすべく、現在、海外に置かれている、現金にして約2兆6千億ドルと想定されている流動資産以外の外国にある資産に一回だけの義務的な8%の課税、現金を含む流動資産には15.5%の一回課税をする。これらの外国に山積している現金を含む資産は現状の税法によるもので、米国に送金されずに海外に置くことににより、課税を遅延されている資産である。この税法を今回の税法は無効とすることを意図している。
所得ベースの不透明化の防止
次に、会社が米国から利益を海外の税金の低い国に移行することを防止する対策。通常の法人税の代わりに、代替最低税(alternative minimum tax,以下AMT)を米国法人とその子会社間の支払いに課税する。これにより、パテント料などを含む、無形資産を通して親子会社間の利益の移行に制限を加える。以上の税の属地制度に関する条項や本国への送金に関する条項などにより多国籍法人に対する米国税法を大きく変えることになった。
資本的支出の費用化
施設や設備投資を直ちに100%軽費化することをこの先5年間許可し、次の6年目からは順次この100%軽費化を削減していく。中小企業には軽費化に関する特例を定めるとしている。具体策は現在不明。
金利控除額にリミット
償却や、減耗、以前の利益の30%を借金による金利控除の上限とする。
クリーン・エネルギー税控除
現状の風力、バイオマス、地熱、太陽、水力などからの電力発電に対する税控除を継続する。
投資ファンドのマネージャー所得
これはcarried interestと呼ばれる投資ファンドの利益の一部で、通常20%ですが、これがファンドのマネジャーの取り分となります。これが現行の税法ではキャピタルゲイン扱いとなっているので、税率が普通所得より低い、一年以上持っていた資産の売却にかかる23.8%なのです。この特例を1年以上ではなく3年以上の保有期間とすることで継続することになりました。
個人
昨日、20日に議会を通過し、約30年ぶりの大型税法の改正となった。2018年1月1日から効力を発する。以下、現段階で明白となっている条項をビジネス、個人、その他の3分野に分けて以下紹介いたします。
ビジネス関係に関しましては、更に別稿にて詳細に、トランプ政権が考えている新国際租税戦略を書きます。
ビジネス関係:
法人税率
2018年1月1日付で、法人税を現在の35%から21%とする。
パススルー型企業
S型法人、パートナーシップ、個人企業などの場合に、法人の段階で課税される収入とは別に個人にパススルーする特定の収入の最初の$315,000を上限とし、これには20%を非課税にする。この上限を超えた金額に対しては、実質、29.6%を超えない限定税率とする。20%非課税はリートからの配当、並びに上場取引されているパートナーシップ収益にも適用される。オーナーに支払われた給与は非課税とはならない。
Alternative Minimum Tax (選択分離最低税)
現状の20%課税を廃止し、この種の利益に対して、最低の課税を考慮する。まだ、税率は確定しておらず、何らかの課税は行うとしている。別稿にて詳細します。
国外所得の米国への回収
現在、最優先課題となっている国際租税に関する税法です。税の属地制度の改正です。現状では世界のどこで、米国法人が稼ごうが、その収益は米国で申告されなければならない。課税対象となる。ところが今後は、米国法人の外国収益に対して米国税を課さない。米国の多国籍法人の現在の形のオフショアー税対策の必要性を皆無とさせるのが目的です。米国の税法から離脱した多国籍法人を米国籍にもどすべく、現在、海外に置かれている、現金にして約2兆6千億ドルと想定されている流動資産以外の外国にある資産に一回だけの義務的な8%の課税、現金を含む流動資産には15.5%の一回課税をする。これらの外国に山積している現金を含む資産は現状の税法によるもので、米国に送金されずに海外に置くことににより、課税を遅延されている資産である。この税法を今回の税法は無効とすることを意図している。
所得ベースの不透明化の防止
次に、会社が米国から利益を海外の税金の低い国に移行することを防止する対策。通常の法人税の代わりに、代替最低税(alternative minimum tax,以下AMT)を米国法人とその子会社間の支払いに課税する。これにより、パテント料などを含む、無形資産を通して親子会社間の利益の移行に制限を加える。以上の税の属地制度に関する条項や本国への送金に関する条項などにより多国籍法人に対する米国税法を大きく変えることになった。
資本的支出の費用化
施設や設備投資を直ちに100%軽費化することをこの先5年間許可し、次の6年目からは順次この100%軽費化を削減していく。中小企業には軽費化に関する特例を定めるとしている。具体策は現在不明。
金利控除額にリミット
償却や、減耗、以前の利益の30%を借金による金利控除の上限とする。
クリーン・エネルギー税控除
現状の風力、バイオマス、地熱、太陽、水力などからの電力発電に対する税控除を継続する。
投資ファンドのマネージャー所得
これはcarried interestと呼ばれる投資ファンドの利益の一部で、通常20%ですが、これがファンドのマネジャーの取り分となります。これが現行の税法ではキャピタルゲイン扱いとなっているので、税率が普通所得より低い、一年以上持っていた資産の売却にかかる23.8%なのです。この特例を1年以上ではなく3年以上の保有期間とすることで継続することになりました。
個人
Standard deduction (スタンダード控除)
現在の項目別による控除がほとんどの納税者には廃止となる代わりに、このスタンダード控除、別名、概算控除額が大幅に変わりました。独身者には現在の控除額が6350ドルから12000ドルとなり、夫婦の場合、現状の12700から24000ドルへと増加します。
Child tax credit (子供税控除)
現状の17歳未満の子供税控除は1000ドルですが、これがその2倍の2000ドルとなります。かつ、その還付額が1400ドルです。
人的並びに扶養控除
人的控除額は2017年においては4,050ドルですが一時的ではありますが、これはなくなります。2026には現行の控除はもどります。現法では夫婦合算申告の例の場合、4,050ドルの控除額には上限が調整総所得の313,800ドルから始まり、436,300ドルを上限として人的控除額はゼロとなります。
個人のalternative minimum tax (AMT)
この税金自体は現状維持です、しかし夫婦合算申告者のAMTの免除額は$109,400と2017年の$84,500と比較して、大幅に増加し、且つ免除額の段階的解消額を2017年の$160,900から百万ドルと大幅に繰り上げた。これによりAMTを支払う人は少なくなる。
相続関係
遺産並びに贈与税の免責額を一人につき5百万ドルから1千万ドルと2倍にした。遺産税を支払う人は少なくなるが、これはあくまでも2025年までの有効期限がついている。
モーゲージ関係
現状の2017年に於いては、自宅購入のモーゲージローンの金利の控除額は上限が購入コストの百万ドルに対する金利となっていますが、2018年1月1日から2025年12月31日に購入された自宅のモーゲージローンの金利の上限は購入コストの$750,000に対する金利です。2026年には元の$1,000,000に戻ります。
医療費
2017年と2018年は自払いの医療費はAGI(調整総所得)の7.8%を超過した金額であり、2019年になると10%となる。
その他
オバマケア関係で、健康保険保証範囲に加入しなかった人に対する連邦の罰金法を削除した。
以上
上田 稔, CPA