新法令NIIT
新法令Net investment Income Tax (NIIT)に関して;
2013年の1月1日より、効力を発した新しい税法です。以下、説明いたします。該当するのは個人とEstate and Trust です。(以下、セクションとされている法令はすべて内国歳入法典のセクションからです。)NIITとはネット・インベスト・収益にかかる税金、内国歳入法典のセクション1411に規定されています。下記に表示しました基準金額を超えると、3.8%の課税がされます。基準金額のことを”しきい値”ともいいます。
個人関係:
NIIT法が該当する人は米国市民と米国居住者です。ただし基準となる金額を下記しましたが、かなり高額ですので、一般の関心はそれほどない様に思えます。しかし、これは新しい法令ですので説明いたします。該当しないとお考えの方も知っておくべきです。必ず話題になる要素を持っています。この法令の実際の名前はthe unearned income medicare contribution tax,UIMCTなのです。したがってこの新税からの収益はメデイケアに使用されると考えれがちですが、米国議会の報告書と内国歳入庁の報告書は明白にそうとは限らないと明言しています。そのため、米国議会は誤解を防止するために、俗称 Net Investment Income Tax = NIITとつけたと考えます。
NIIT法が該当しない人:非居住者、非居住者で、居住者または米国市民と結婚しており、夫婦合算申告をセクション6013(g)または(h)での申告を選択している夫婦はNIITに関しての特別選択ルールがありますので、セクション6013のg・hを参照してください。また、米国と外国との租税条約上、両方の国の居住者でありながら、税法上では非居住者外国人扱いになるような人はNIIT上では非居住者扱いとなります。、(内国歳入指導原則セクション301.7701(b)-7(a)(1))。それではある、期間は米国の居住者であり、ある期間は外国の居住者(米国非居住者)のような2重居住者の場合は米国居住期間に関してはNIITが該当し、以下に記載されている基準値(しきい値)はそのまま該当します。
Niitの対象となる総収益
NIIとは:金利、配当、キャピタル・ゲイン、賃貸収入、ロイヤルティ収入、ノン・クオリファイド・年金(税金を支払った後のお金で積み立てる年金)、金融証券や商品先物を扱っている商売からの収入、納税者が受動的な関係にある商売からの収益(内国歳入法典のセクション469に定義されているような受動性)等などです。つまり、投資はしているけどその投資した事業やパートナーシップや商売にはお金を出す以外は参加していない、つまり、受動的である、以上がすべてではないですが、主だったものです。キャピタル・ゲインとありますが、どのようなゲインかといえば、株取引や債券やミュチャルファンドの売買益、ミュチャルファンドからのキャピタルゲイン配当、投資目的の不動産の売却利益(この場合、自宅ではないセカンド・ホームの売却益も含む)、S型法人やパートナーシップの権利売却からのキャピタル・ゲインなどを指します。
カタゴリー別に分類すれば:
1.商売からではない、投資として得た金利、配当、賃貸収入、ロイヤルティ収入、ノン・クオリファイド・年金(税金を支払ったお金で積み立てる年金)
2.納税者が受動的な関係にある商売からの収益(内国歳入法典のセクション469に定義されているような受動性)
3.純キャピタルゲインですが事業所得としてのキャピタルゲインは対象外です。
NIIではない収益とは
給与、失業手当、実業からの収益(投資などの不労益ではない、自分も参加して儲けに加わった)、社会保障受給額、アリモニ(離婚扶養料)、非課税金利、自営業収入、などです。
信託財産(estate and trust)関係:
信託財産がNIIT法に従うことになるのはその信託財産が未分配のNIIを保有している場合で、その調整総所得が$11,950(2013年の場合、2014年は$12,150)を超過しているばあいです。
NIIT法から課税を除外されている信託財産には下記のようものがあります。
1.内国歳入法典のサブチャプターA下で非課税になっている信託、例えば、セクション501にある限定付き退職金制度関係の信託や公益信託、セクション664にある公益残余権信託、2.遺贈者信託で、消滅していなすべての権利がセクション170(c)(2)(B) に記載されている目的に沿うもの。
3.セクション671-679に記載されているみなし自益信託
4.たとえば不動産投資信託や一般的な信託基金のような税法上、信託として認められていないようなファンド。などです。
この法規によるネット・インベスト・インカムとはどのような収益を指すのか、以下説明します:
NIITの計算方法
従来の税金の申告書フォーム1040のライン37、調整総所得(AGI) をNIITの計算では修正が必要です、したがって修正されたNIIT用の調整総所得をNIIT調整総所得(NIITAGI)と呼びます。
NIIT調整総所得とは調整総所得(フォーム1040のライン37)に以下の差額を加えた額です。その差額とは: (セクション911(a)(1)の総所得から除外される金額のトータルと調整総所得を計算するときに考慮する控除との差額、またはセクション911(a)(1)に記載されている金額に対して控除が許可されない免責条項目との差額です。この説明が内国歳入庁の指導原則の説明ですが、大変わかりにくいので、実際の例題を下に準備してあります。
セクション911(a)(1)とは:セクションの911は外国に居住している米国市民並びに居住者に関する条項で、その(a)とはそのような人の総所得からの控除であり、(1)は外国での収入に関する法令です。
申告フォームはフォーム8960です。個人の場合は1040に、遺産・信託の場合は1041に添付します。
対象者 基準となる金額
夫婦合算申告 250,000
夫婦個別申告 125,000
独身者 200,000
特定所帯主 200,000
特定扶養家族付寡婦 250,000
NIITの計算上で引ける控除とは:
NIIT総収益 - NIIT経費 =NIIT の形式で計算されますが、NIIT経費とはNIIT総収益を生み出すのにかかる経費です。たとえば、投資にかかった金利、投資に関するコンサルティング経費、ブローカー・フィー、レンタルとかローヤルティ関する経費、納税申告用経費、トラストやエステイトの受認者用経費、などです。
計算例:
夫婦合算申告:
自宅を売りました:売値: 1,300,000
コスト: 700,000
ゲイン(セクション121前) 600,000
セクション121控除 500,000
課税対象利益 100,000
この他に、このご夫婦は他の純投資収益が$125,000あった。従って、純投資収益の総計は100,000 + 125,000=225,000となる。
次に、このご夫婦のNIIT調整総所得が$300,000だったとする。上記のテーブルから夫婦合算申告の場合、基準となる金額は$250,000ですから、300,000マイナス250,000=50,000が基準値をオーバーする金額となる。
そうすると、Net Investment Income Tax (NIIT)と呼ばれるこの税金は純投資収益(NII)とNIIT調整総所得の基準値オーバー額の少ないほうの金額がNIITの課税対象額ですから、225,000と50,000を比べれば50,000が課税対象額となる。したがって、NIIT=50,000x3.8%=$1900がNIITであります。
例2:
独身者:
10年間住んだ
自宅を売りました:売値: 420,000
コスト: 200,000
ゲイン(セクション121前) 220,000
セクション121控除 250,000
課税対象利益 0
セクション121控除は従来の税金の計算で控除となると同時にNIIT 計算上でも同金額が控除になります。
この他、この人の給与所得が年間$210,000ありますが、NIITの計算の対象外ですから、給与所得も計算に入れる必要はありません。したがって、この場合、NIITは家の売却益とは関係がりません。該当しません。
例3:
独身者:
10年間住んだ
自宅を売りました:売値: 1、000、000
コスト: 600,000
ゲイン(セクション121前) 400,000
セクション121控除 250,000
課税対象利益 150,000
この150,000がNIIと呼ばれ、NIITの対象の利益となります。このほか、年間給与が$45,000あり、NIIT調整総所得が$195,000だったとする。NIIT調整総所得の基準値が個人場合、$200,000ですから、$195,000はこの金額より低いので、この人はNIITの課税はありません。
例4:
独身者:
給与収入が$180,000.パートナーシップへの投資からくる不労所得が$90,000あり、これはNIITの対象となる。NIIT調整総所得は$270,000となる。この金額はNIITの独身者のNIIT課税の基準となる金額、$200,000より$70,000超過する。この人のNII、純投資収入は上記の不労所得の$90,000ですから、NIITは基準超過金額の$70,000か不労所得の$90,000の低い値ですから、NIIT対象金額は$70,000ということになります。従って、この納税者は$2,660のNIIT課税となります。(70,000x3.8%=$2660)
例5:
独身者:
年間給与が$180,000.株の配当が$15,000.NIIT調整総所得が$195,000となる。しかし、独身者のしきい値、つまりNIIT課税の基準値は$200,000ですから、$195,000は$200,000を超えていませんので、NIITには該当いたしません。